パッシブ設計~太陽~

”太陽の動きを攻略する”


パッシブ設計とは、設計手法のことで、
太陽や影、風や植物、雨水のような自然のエネルギーを利用した設計のことです。

今回はその中でも太陽についての記事にします。


住宅においては、冬は太陽の光をたくさん採り入れて、夏は影を作って暑い日差しを入れないようにするというとわかりやすいですね。

下図のように、太陽の日射角度というのは真冬は約40度真夏は約70度で空から差してきます。
設計士によっては冬は30度、夏は78度という方もいますが、これは12月の冬至と6月の夏至の日射角度ですから、実際の真冬、真夏とは1ヵ月と少しずれるので、それを多少でも考慮しておく必要があります。

※モデルハウス断面図


丸が太陽だとして、そこから出ている線が正午の日射のラインだとしたら、この場合夏の70度だと雨樋で影ができ、窓に日射のラインがかからないので部屋の中は樋や軒の影になっています。
逆に冬は40度の日射のラインで日が差すので、窓から日差しが入ってきます。
自然というのは本当にうまくできているなぁと思うのですが、
暑い時期と寒い時期で太陽が自ら角度を変えてくれてるんですね。

冬日光をたくさん取り込みたい場合、南に面して大きな窓をできるだけ多くつける、
夏日光をなるべく遮りたい場合、南に面した窓の上部の屋根や庇を長くする。
こんな単純で簡単なことで冬は太陽の光をたくさん採り入れて、
夏は影を作って暑い日差しをカットするということが実現できるんです。

しかも屋根の軒の出はある程度ならどの工務店でもオプションにはならないはず(※庇はオプションになることが多いと思います)なので、ほとんどお金をかけずに冬の暖房費を軽減し、夏の冷房費を抑えることができます。
検討しない手は無いですね。

~モデルハウス7月24日の正午の南面。窓は影で覆われています。~



太陽の動きを攻略することは物理の法則に従えば誰にでも実現可能なことですが、
実際ほとんどの日本の住宅はそういったことを全く無視して作られています。。。
明るいリビングが欲しいという要望に対し、やみくもに東や西面に大きな窓をつけている設計は、
不運にも真夏の暑い朝日や夕日の焼けた熱をガンガン取り込んで家の中が熱くなってしまうことになります。
こういった場合は窓の外にシェードをつけたり、東西の窓の前に大きめの落葉樹を植えるなど工夫が必要です。

逆に、
南面は隣地の家が近くに建ってて1階に冬の日差しを取り入れるなんてほぼできないという場合は、
吹き抜けをつくり、2階の高いところから少しでも日射を取る。か、
夏の日射遮蔽にのみ注力して冬は諦めプランを検討するかなど、敷地の条件にもよります。

我々の活動範囲では住宅密集地が多いことと、
現代では住宅が高断熱化しているので、夏の日射遮蔽をまず優先的に、その上で冬の日射取得を考えます。
これは高断熱化した家が、真夏の日差しを取り込み過ぎて家の中から熱が抜けないという現象を作らないためです。

窓は良いものを取り入れる部分です。
例えば自然光日射風景など。
良くないものは取り入れたくありません。
例えば排気ガス花粉PM2.5泥棒など、、、
良いものを取り入れられない窓は不要だと考えています。。。

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