換気については実務者によって意見が分かれるところで、
未だ明快な答えのない問題でもあります。
そんな難しい換気問題の答えからまず書くと、
弊社が推奨しているのは第三種換気となります。
ですがそれにはある条件を満たしていただきたいのですが、
その条件までここに書くと長くなるので別のコラムとします。
今や様々なブログやYouTubeなどで換気問題が取り扱われているので、
このコラムまでたどり着いた方なら基本的なことはご承知であろうと換気のシステムはおさらいだけにしておきますが、一般の方がいろんな情報を取り入れるほど迷子になってしまうカテゴリーだと思います。
少し概要だけ簡単におさらいしますので、もう理解されている方は下の本題まで飛ばしてください。
木造住宅の換気方法は基本的に第一種換気か第三種換気の2択です。
これは建築基準法で定められているものなので、必ずどちらかを選択しなければいけません。
その際多くの工務店が標準工事(オプションではない)としているものは三種換気です。
三種換気は便所や浴室の換気扇を24時間つけっぱなしにし、
リビングや洋室に開けた給気口(例えば3LDKだと4箇所の居室)から外の空気を直接取り込む方法です。
もしくは機械を設置し要所にダクト配管をし、計画的・効率的に排気を行う場合もあります。
一種換気は機械によって給気と排気を制御するシステムです。
その際熱や湿度の交換をし、室内を快適な状態に保ちやすくするものもあります。
これには天井裏や床下に機械を設置し要所にダクト配管するものや、外周の壁に機械を取り付け呼吸させるダクトレスのものもあります。
熱交換率90%以上を謳っているものが多いですが実質6掛け程度といわれたりしているようです。
はいではここから本題です。
では一種換気のメリット並べて見てみましょう。
〇入ってくる空気の温度差が少ない
→冬ならちょっと涼しい空気が入ってくるイメージ
→夏ならぬるい空気が入ってくるイメージ
〇室内の湿度も保ちやすい
〇三種よりは空気の流量を確保しやすい
といったところでしょうか。
ではその反対のデメリットは
〇高額である
〇メンテナンスに手間がかかる
〇熱交換率はカタログ値ほど出ない
〇構造が複雑なので自分で扱えない
〇ダクトは掃除ができない
〇故障・入れ替え時相当な費用が必要
ダクト式、壁付け式共にそれぞれメンテナンスに手間がかかることと、
温度差緩和による冷暖房費の節約効果は薄く採算が取れないという点が大きいです。
そしてこれらデメリットは住まい手の工夫ではどうすることもできません。
では三種換気のメリットですが、
〇標準工事でできる(追加費用ゼロ)
〇メンテナンスはフィルター交換のみ
〇構造が単純
反対のデメリットは
〇入ってくる空気の温度差が大きい
→冬は乾いた冷たい空気が入ってくる
→夏は湿った暖かい空気が入ってくる
〇室内の湿度の管理がしづらい
〇空気の流量が場所によって異なりやすい(換気ムラがある)
となりますが、三種換気のデメリットは設計と住まい手の工夫によって多少解決できます。
以上を踏まえ、
換気について長らく試行錯誤と勉強をしてきましたが、弊社は三種で十分良いと考えます。
一種換気を採用してもデメリットがメリットを上回ってしまうと見ているからです。
一種換気に数十万円もかけて採用をするのであればそのお金は違うことに回した方がいいですね。
オプションなどいろいろ思ったことをやった上でまだご予算には余裕があって、
デメリットも受け入れることができるのであれば一種採用でもいいですがひとまずはオススメはしていません。
換気ということで言うともちろん気持ちのいい中間期(5月、11月等)は窓を開けて換気をしていただいても結構です。
他のコラムでも書いている通り、窓は「良いものを室内に取り込むための装置」です。
中間期の気持ちのいい風は是非取り込んでいただきたいものですが、
花粉、臭気、排気ガス、黄砂、PM2.5、虫・・・、これらを室内に入れるのはイヤですよね?
なので窓はなるべく開けない、換気はフィルターを通して行う。
それもシンプルで経済的な三種換気の装置を使って。
これが経済的に暮らしていくためのコツです。