知恵と工夫でお金をかけずに家の性能を上げる裏技

”最低限死守すべきもの”

現実的には基本ご予算内で収めなければなりません。

予算が推奨の仕様に届かず、
「新築を建てたいけれど、もう予算が出ません。性能が最低限の家で住むしかないですか。」
と聞かれると、
「妥協は必要です」とお答えします。
低い性能の住宅ほど特に、設計者の知恵と工夫が必要です。

「結局予算が合わなくて妥協するのなら、もっと安くでやってくれるビルダーを探した方がいいんですかね」
ということを言われたことがあります。
確かにそれもひとつです。
耐震性や断熱性が低い家ほど本来は設計者の知恵と工夫が必要なんですが、
一般的にはそういった家ほどするべき検討を全くしていませんので、
それらをまずちゃんとやってくれる会社なら良いと思います。

そこで予算の限られている方のために、その場合ビルダーにお願いすべき項目を箇条書きにしておきます。


(☆はお金がかかりません。 ・はお金がかかるかと思います。)

〇耐震計算が壁量計算の場合


柱直下率(2階の柱が1階の柱の直上に何本あるかの割合)をできるだけ高く(70%程度)してもらうこと
耐力壁直下率(2階の耐力壁が1階の耐力壁の直上に何箇所あるかの割合)をできるだけ高く(70%程度)してもらうこと
☆大空間は作らず、その部屋の長方形の短辺は最大3640までとすること
☆吹き抜けをつくる場合は大きくとりすぎず、火打ち梁などで補強をすること
☆1,2階のズレなどは極力無くし整った2階建ての長方形の家にすること


〇窓と断熱に関して


☆窓は引き違い窓をなるべくつけない。縦辷り、横滑り、FIXをメインに。
☆北、西、東には極力意味のない窓はつけないようにし、南面には大きな窓を多くつける(目線等には注意)
南面の窓には庇の出と窓の高さが1:3以上になるよう窓の直上に庇をつけて夏の日差しが入らないようにする。
・上記以外の場合で庇が高価であれば、安いアウターシェードなどをつけてもらう。
気密性は確保してもらう(C値=1.0以下)
☆断熱は性能値でUa値0.87~0.6程度だったとしてもその会社の標準の断熱材を正しく施工してもらう。
オプションで断熱を強化する場合、窓→天井(屋根)→の順で検討する。
 ※床は最後余裕があればでOK
・屋根の断熱材は、壁の断熱材の3倍程度は入れる。


〇エネルギーに関して


オール電化にする(ガス代が将来無料になることは無いと思いますので、、、)
太陽光パネルをリースやPPAなどで初期費用を抑えたものを提案してもらう(分電盤変更費等は費用がかかります)
☆オール電化の場合、給湯器は自家消費促進機能の付いているものを提案してもらう(多少オプションの場合も)
☆太陽光パネルを乗せやすいようガルバリウム鋼板の屋根にしておく(会社によってはガルバはオプション)
・オール電化、太陽光まで採用出来たら、給湯器は「おひさまエコキュート」にする


〇耐久性に関して


軒を出すこと(おそらくローコスト系でも300~500程度までの軒であればオプションにしているところは無いと思います。)
☆メンテナンスを考慮し、最低でも境界から外壁までの離隔距離を有効500以上は確保する。


〇その他


☆設備は壊れた時にいつどの業者が来てもメンテナンスできるものを採用する。
・建築工事で照明器具を採用する際は球を自分で取り換えられるタイプのものにしておく
・そこそこの性能まで上げれたら性能評価書は取る。



いかがでしたでしょうか。
このように、費用をかけずとも(もしくは少しの費用で)設計者の工夫よって家の性能を上げることはある程度可能だということです。

実力に個人差はあってもビルダーの設計はプロです。
一般の方が少し勉強して例えばいくつかの知識を得たとしてもトータルでは敵いません。
見えない部分に関しては最低限の項目だけを伝えてお願いをしたら、あとは信じて任せましょう。

コラム一覧ページに戻る