構造計算での耐震等級には1~3のレベルがあります。
許容応力度計算にも、性能表示計算による計算でもです。
(※壁量計算にはありません。壁量計算で耐震等級3相当というのは、等級3ではありません。)
構造計算は外注する会社が多いですが、弊社では自社で構造計算をしています。
構造計算をする以上、当然ですが許容応力度計算での耐震等級3を目指して構造を考えていきます。
検定結果OKが出るまで、実に1400~1800程度もの項目を計算します(計算ソフトが笑)。
30坪程度の建物でも計算書の枚数はA4用紙にして500枚前後とか。
そこで一つでもNGが出ると耐震等級3は成立しません(さすが許容応力度計算は厳しい)。
ですがどうしても耐震等級3を取れない場合もあるのでここで説明しておきたいと思います。
●耐力壁が足りない場合
開口部が多くそもそも壁が少ない場合です。
窓や内部の引戸等がそうなんですが、揺れに対して踏ん張るのは壁です。壁が大事。
この場合お客様と相談をしながら開口部を減らし、壁を増やす作業をしていきます。
●1階の柱が少ない
1階に大空間を取っていたり、3階建てで車庫などを計画している場合は柱や壁が少なくなりやすいので耐震計算上に不利になります。
これとは逆に2階建てで2階リビングプランの場合、1階に居室が集まっていると柱を多く入れれるので耐震計算上有利になります。
●バランスが悪い
家の形状がでこぼこして平面的にも立面的に整形ではなかったり、
1階より2階の方が大きかったりする場合、
あと、東面は壁が多いけど西面はほとんど壁がない等何かに偏ってしまっている場合。
●吹き抜けがある場合
間取りの形状により、吹き抜けがあると水平構面を確保できない場合があります。
許容応力度計算の肝は実は床なんです。床がかなり大事。
吹き抜けの位置も重要で、3面外部に接してたら最悪、2面でも厳しい。という感じです。
吹き抜けの中に梁を通したり、火打ち梁で補強して工夫を重ねます。
●高さ制限によって梁成を大きくできない場合
高度地区などでは非常に厳しい高さの制限があり、これに適合しなければなりません。
敷地に広さに余裕が無かったり、下屋で避けたりできない場合、
まともにこの斜線の影響を受けます。
配置、屋根の形状、階高、天井高など全体で工夫してみますが、
どうしても梁成を大きくできない場合があります。
●屋根が重いことによって計算が不利になる場合
なにか物を積み上げるとき、一番上に重い物を置いたらバランスが悪くなって倒れやすく危険だということは想像がつくと思います。
瓦屋根や、太陽光パネルのようなものを建物の屋根の上に載せることは、耐震計算上不利になってきます。
●指定の強度の樹種が手に入らない場合
世界情勢や供給インフラなどの要因で特定の樹種が手に入らない場合があります。
そうなった場合、代替の木材に需要が傾きますからある程度の強度の木が手に入らない場合があります。
以上のような原因が1つ程度の場合なんとか他で補える場合もあるのですが、
いくつかの原因が重なった場合、耐震等級3に適合できずお客様と相談の上、耐震等級2で進めることもあります。